タルティーン司令部戦略課室長日誌

ここだけで読める、戦略課の秘話その他。

2014年04月04日の記事

LEGOムービー

22日、『LEGO® ムービー』を観てきました。

 

LEGO® ムービー
http://wwws.warnerbros.co.jp/lego/

 

これはどう評価したらいいんだ…。

 

レゴとはご存じの方も多いとは思いますが、世界的な玩具でもあるレゴブロックのこと。つまり本作は、そのレゴの世界を描いた映画になります。

 

レゴの世界の映像化作品自体はかなり昔から存在し、オフィシャルやファンの創作など無数に誕生しています。
その中には実際のレゴを用いてのストップモーションアニメ作品など、力作、佳作、怪作など色々ありますが、本作『LEGO® ムービー』DCG作品になります。要するに仮想上でレゴを組み立て、これをアニメーションにしています。
このように紹介してしまうと、安易に制作されたようにも思えてしまいますが、下手なCGアニメ作品よりもはるかに手間の掛かる開発をしています。何故ならば、本作に登場するほとんどが、実際のレゴに存在するブロックを組み合わせることで生成されているからです。
具体的には建物や自然風景はもちろん、炎や煙、雲、水面や波、水しぶき、爆発、レーザー光線といったエフェクトに到るまで、そのすべてがレゴブロックで形成されているのです。コンピュータ上で作るとは言え、そうした処理を行えるエンジンを組まねばなりませんから、想像以上に面倒な手間が掛かっていると言えます。

 

「ということは、
 登場するものは
 ほぼすべてが実際に組み立てられるということなのかな?

 

理屈の上ではそうなります。
また、そうしたことを踏まえての、レゴならではのギミックも登場します。
レゴとはブロック玩具ですから、組み替えることで別のモノに作り変えることが可能です。これを「レゴの世界ではモノを壊して別のものに作り替える術や文化がある」という設定に置き換え、劇中では建物や乗り物などがバラバラになって別のものに変形するといったシーンが何度も登場します。

 

ちなみにこうしたシーンの一部では、ブロックに数字が付されて表示されたりします。これはレゴ社で扱っている当該ブロックの管理番号です。マニアックなネタですが、「これらを揃えることで同じものが組み立てられる」ということを観ている者に示唆している訳ですね。

 

レゴのコアなファンにとって、気が利いていると感じるであろう演出としては、ブロックの傷みなどが挙げられるでしょうか。
例えば主人公のエメットの服のテクスチャですが、指紋の跡が付いています。

 

※ ただしアップやロングといったカメラアングル等によって

  数種を揃えているため、

  全てのシーンのエメットが同じテクスチャやモデリング、

  同じシェーディングを与えられているという訳ではないようです。

 

指紋の跡が付いているエメット。
http://wwws.warnerbros.co.jp/lego/images/gallery/LG-FP-228.jpg

 

またサブキャラの宇宙飛行士のヘルメットは顎の部分が割れています。
特にこのキャラクターは1980年代のレゴ人形をモデルとしているようですが、当時のレゴランド・宇宙シリーズのヘルメットは割れやすく、よくこんな感じになったものでした。

 

ヘルメットの割れた宇宙飛行士。
http://wwws.warnerbros.co.jp/lego/images/gallery/LG-FP-157.jpg

 

こうした小ネタが随所にちりばめてあり、レゴ好きの子どもや大人にはたまらない映画だとは思います。

 

「うん。
 それでも何か割り切れないみたいな言い方だね

 

センス的には『ガリバー旅行記』を髣髴させます。ジャック・ブラック主演の悪名高い映画です。私は好きでしたが。

 

『ガリバー旅行記』

(アメリカ、2010年、ロブ・レターマン監督)

 

主人公のエメット『ガリバー旅行記』ガリバーみたいに空気の読めない、ともすれば見ていてイラつきそうな奴。ろくに何もできないし、なのに成行きで英雄に仕立て上げられていく。
全編を通してのノリもアクが強く、こうしたセンスが馴染めない人にはお勧めしづらい作品だと感じたのです。

 

しかしそれでも海外では週連続位など、なかなかの評判の様子。
『くもりときどきミートボール』といい、こういうものがむしろ世界ではウケるのだなぁ…などと思っていたら監督が同じでした。

 

『くもりときどきミートボール』
(アメリカ、2009年、フィル・ロード/クリストファー・ミラー監督)

 

とにかく笑えます。おばかでグダグダな展開が続きます。
制作者のレゴへの愛はものすごく感じます。

 

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

一番笑えたのは「おうちに帰りたいよ〜!」のシーンでしょうか。
そこにハウストレーラーが現れ、事故で路上に家を落とし、「そういう意味じゃなーいっ!!」、大笑いでした。
ちなみに英語版では「This is not mine!!(僕んちじゃない!)」のようですね。ギャグとしては原語のほうが面白いですが、「ちげぇよ!」的なネタが一般的な日本だからあのように訳したのかも…?
というか、自分の家だったら満足だったのか…?(^^;;;;

 

映画『レゴ®ムービー』特別映像「マン・オブ・プラスティック」
https://www.youtube.com/watch?v=pGA3UyesYKg

 

終盤、エメットはビルから奈落へと突き落とされますが、勘の良い人ならば彼がどこに落ちて行くのか、そして“ここ”がどこなのか、気付いていたかもしれませんね。
これまでのレゴの世界での物語は、すべて人間の少年エメットの、レゴでしていた遊びだったのです。
このメタ的な展開に、本作の本当のテーマが隠されていると言えます。

 

レゴのエメットはマニュアルが無ければ何もできず、考えたアイディアも「二段式ソファ」という、意味があるのか無いのかわからない代物でした。
レゴの世界から人間の世界へと場面が切り替わったことにより、これはそれまでとは別の意味をもつものになります。
つまりマニュアルとは「レゴのマニュアル」なんですね。レゴのパッケージを買い、箱を開けると入っている組立図面。これに従って組み立てれば、箱の写真と同じものが完成します。

 

レゴのマニュアルの例。

 

レゴのパッケージを、その図面のままに組み立てる。これは勿論レゴの遊び方のひとつです。
しかしレゴブロック玩具であり、他の組み方をすれば別のものが出来上がる。人間の少年エメット既成のレゴ模型を崩し、別の物を作って遊ぼうとしていました
このことに気が付くと、「二段式ソファ」のもうひとつの意味が見えてきます。私も幼い頃はレゴでよく遊んだものですが、色とか形状には頓着せず、おかしなものを組み立てて作ったものでした。
即ち「二段式ソファ」とは、自由な発想で組み立てたもの、という象徴だった訳です。

 

自由な発想で組み立てた例。
http://u.jimdo.com/www100/o/sb37c99077ee6b9eb/img/i70f5c115958aec71/1391430232/std/image.jpg
http://www.chocolatmag.com/2012/11/20/016-%E3%83%AC%E3%82%B4%E3%81%A7%E9%81%8A%E3%81%BC%E3%81%86/

 

この“人間の世界”での設定が見えると、本作のドタバタで取り留めもなく、伏線的にも目茶目茶に感じられた理由が明らかになります。
子どもがレゴで遊んでいるとき、そこに何らかの物語を設定することはあっても、必ずしも起承転結がしっかりしている訳ではありません。ご都合主義的に展開させることもしばしばあります。
二段式ソファ」をレゴで組み立てても、その中には物理的には何も入れられません。しかし劇中のレゴのエメットは内部が収納スペースになっていると説明し、実際に潜水艦からの脱出に用いて内部に隠れました。「物理的に入らない」ではなく「レゴ人形の首をはめて置くことで中に入っていることにする」という、ブロック玩具ならではの「おやくそく」が通るのです。

 

レゴのエメットに於ける「やればできる」というありふれたメッセージよりも、むしろ「レゴで遊ぼう、マニュアル通りに組み立ててもよし、自由に作っちゃってもよし、出鱈目だって構わない!」という意味こそが込められている。そのように感じました。
ゆえに本作がドタバタでグダグダで伏線的にもどうなんだ…というような描写にはきちんとした意味があるのですが……、しかし、これを由とするか否か…。
そういう映画の作りってアリなのか…?(汗

 

 

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