はりがね12のブログ

パズルド素人によるキャストパズルブログ。 2015/8/28 オリジナルパズル「Twinkle」公開

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キャストパズル 「頑」

 2016年6月、販売元である「株式会社ハナヤマ」さんより「キャストパズル」シリーズが「はずる」に名称変更となることが公表されました。これに伴い、パッケージと価格が変更となります。数年前のパッケージ及び難易度変更、消費税の引き上げに伴う価格変更など、記事作成後に変更が生じた箇所は、可能な範囲で都度修正を行っていました。しかし、今回は全く別のシリーズに生まれ変わるということで、「キャストパズル」シリーズの紹介として続いていた本ブログにとって、今まで以上に影響が出ます。ですので、これまで作成してきた記事に関しては、「はずる」移行は行わず、「キャストパズル」として発売されていた時代の情報を残すという位置づけとしたいと考えています。ですので、一連の作品群が「キャストパズル」である以上、本ブログでも「キャストパズル」として記載します。

そして、今回がその最後の作品です。



 

基本的にあからさまな解答・ヒントは書きませんが、ネタバレを含む可能性があるのでご了承ください。

 

 

 

5年半ぶりの難易度5

 

 

名 称 : CAST PADLOCK(キャストパドロック)   考案者 : JinHoo Ahn

難易度 : 5 (閃4+論5)             総重量 : 約90g

テーマ : 頑                   金属臭 : なし

価 格 : 980円(税抜)              オススメ度 : ★★★★

 

 

 G&GでキャストパズルデビューしたJinHoo Ahn氏の作品。実はキャストヘキサゴンと同じく2014年のIPPに出品されていた作品で、原題は「Cassette」と言います。その難易度は、前作G&Gから大幅に上がって5。2010年の夏に発売されたH&H以来、実に5年半ぶりの登場ということになります。5年半ぶりといっても、難易度改定後の5も含めるとラトル以来、多くの人が難しいと評する作品としてはヘリックス以来ということで若干時期がずれますが、いずれにせよ長い時を経ての高難易度作品の登場ということには変わりありません。


 難易度改定や廃盤により、当時は難易度5の数が14と極端に多くなっていましたがその後は低難易度作品のリリースが続き、気づけば(当時)難易度2〜5がほぼ同数に。その上、近年は明らかに難易度設定がおかしいと言われる作品の登場もあり、更に難易度低下を感じざるを得ない状況が続いていました。そんなわけで、そろそろ高難易度作品も出てほしいという思いを抱いていました。そんな中の難易度5の登場、これはわくわくせずにはいられませんでした。


 というわけで概要ですが、一見して4つのピースがどういう風にかみ合っているのかはわかるのですが、ピース同士の動きの関連性が非常につかみづらく、そう簡単に外せるものではありません。一応、何が邪魔しているのかははっきり見えるのですが、「じゃあどうすれば良いの?」というのがわかりづらく、この作品はそこが巧妙にできています。解法の糸口を掴むまでは、パッケージの説明文通り「頑なに離さない」という印象を強く受け、伊達に5年半ぶりに難易度5として登場していないな、と感じられる作品となっています。


 私の場合、挑戦した直後は全く進み方がわからず、その日はすぐに諦めてしまいました。日を改めて再挑戦したところ、久々の「何故かはわからないけれど、不意に進展が訪れる」という状況に。その後も、進んでは戻りを繰り返しながら、「何故かはわからないけれど、ここまでは正解ルートを進んでいるのだろう。でもこのままでは外れない」という状況が続きました。その後しばらく行き詰まってから、ふと「こういう動きができたなら、こういう動きもできるよね」「まあ外れるかはわからないけれど、ちょっとやってみよう」と思っていたことをやってみたら、本当に外れ、また戻ってしまいました。結局、原理はよくわからなかったものの、キャストパズルらしい癖があるということははっきりわかる構造で、原理がわからないなりに色々考えることができるようになっています。


 ただこのパドロック、難易度に関してはどうも人によって感じ方に開きがあるようで、解ける人にはあっという間に解けるようです。しかし、それはパズルが得意な人なのだと思います。手順を見る限り、今回はかなり論理性が問われる作品だと思いますし、この内容なら苦戦する人もいて当然でしょう。


 個人的な感覚でいえば、難易度自体はシリンダーやU&Uに近い感じだと思います。ただ、仕組みのわかりづらさではパドロックが一番上で、一往復するまでの累計時間でいえばパドロックが最も短かったです。原理を理解しないまま思いついたことをしたら比較的短時間で外れたため、ちょっとあっけなかったのは事実ですが、それでも今の基準なら難易度5は妥当だと思います。逆に、難易度5としてエクアやヘリックスのような高難易度作品の印象が身についている人には、今回の難易度設定は疑問に思われるでしょう。


 その他気になる点としては、コストダウンのせいか、全体のサイズが小さいことと、銀のピースが肉抜きされていることでしょうか。サイズについては、操作性に影響を及ぼすような小ささではないのですが、もう少しボリューム感のある大きさでもよかったなという印象がありました。肉抜きについては、このシリーズでは重厚感を大切にしてきたと思うので、ここまであからさまな肉抜きをされているとやはり少し違和感を感じてしまうというのも頷けます。ただし、黒のピースはほんの少ししか肉抜きされていないので全体の重厚感は損なわれていませんし、逆に外側はこれくらいの方が動かしやすくてよかったのかもしれないとも思っています。


 あとは細かい話ですが、個人的には黒のピースを初期状態で固定できないことが少し気になりました。ヘキサゴンほど美観を損なうものではないものの、見た目がいいのでやはり何となく綺麗に置いておきたいという気持ちになりました。


 パドロックは、ここ最近の難易度低下に歯止めをかけるかのような、高い論理性を有する作品です。適度な難易度なので、中難易度作品を好む人、その中でも特に「そろそろ歯ごたえのある作品をやりたい」と思っていた人は楽しめると思います。ただし、人によっては本当にすぐに解けてしまうようです。パズルの性質上それはあり得ることですし、そもそも高難易度になるにつれて個人差が顕著になるという傾向は昔から変わっていません。しかも、今作はそれなりに高難易度と感じる人も見られますので、難易度設定に関して明らかにおかしいと断言することはできないと思います。ですので、「今回も簡単すぎる」と感じられる場合、それは単に難易度5相当を簡単に攻略できるほどパズルが得意というだけで、「今の難易度5では自分を満足させることはできない」と諦めるのが賢明だと思います。

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キャストパズル 「帯」

基本的にあからさまな解答・ヒントは書きませんが、ネタバレを含む可能性があるのでご了承ください。




ねじれた帯にひねりはあるか?



 

名 称 : CAST MÖBIUS(キャストメビウス)     考案者 : Oskar van Deventer

難易度 : 4 (閃3+論5)             総重量 : 約70g

テーマ : 帯                   金属臭 : あり

価 格 : 980円(税抜)              オススメ度 : ★★



 数々の立体迷路を作り出してきたOskar氏の作品。これまでにも氏の作品は数多くシリーズ入りしており、前作ツイストまでで実に10作品以上が登場。その半分以上は迷路型パズルで、そのうち5作品が今も発売されています。しかしこの作品、原作は「Moby Maze」といい、実は10年以上前から存在していました。少し気にはなっていたのでシリーズ入りを知った時は嬉しかったのですが、正直なところ「今更!?」という印象が非常に強かったです。

 さて概要ですが、一見すると古典作品の復刻であるラビに似ていますが、実際は全くの別物です。明確な壁で仕切られたラビよりも経路が見えにくいのは事実ですが、その分ルート的に行き詰まることは少なく、C環をスムーズに動かすことができます。しかし、これが迷路と呼べないほどのスムーズさで、適当に動かしていても何とかなってしまいます。迷路に仕組まれたポイントも直感ですぐに見つかってしまうため、論理的な思考も閃きも全く必要ありません。メビウスの帯という、その性質をよく知られた形状を使用していることもあり、ピースの動きを追うのもそう難しくありません。そのため、論理的な思考を常に持っている人は、まずこうしてみようと素直に考えたことだけで全てが解決してしまいます。

 ちなみに私自身は、3分で外れ、30秒で戻りました。たとえ得意不得意があったにせよ、これは今の難易度基準で言っても到底4には及びません。個人的な感覚では、今の基準でも2でよいくらいでした。

 同じ作者で、かつ同じ「ねじれ」を扱ったテーマとして、ツイストが挙げられます。指数的にはひらめきが1上回り、こちらの方が高難易度に設定されているのですが、先述の理由から、難易度の観点では全てにおいてツイストを下回っているといってもよいでしょう。

 そして、それ以上にこの作品に対して疑問に思ったことがあります。それ、は「メビウスの帯という素材を上手に活用できていない」ということです。というのも、動かしていてもパッケージに記載の「表が裏に、裏が表に」という感覚が全く感じられないのです。おそらく、表と裏を上手に活用するためのトリックが仕掛けられていないからだと思いますが、いずれにせよこれは「メビウス」という名を関する作品として大問題だと思います。

 たとえば、似たような外見のラビは、表と裏で異なる迷路が刻まれ、更にそこを通る突起が表裏でずらしてあるため、見事に両面を利用する意味が持たされています。それに加えて思い込みを覆すアイデア、ちょっと意地悪さすら感じるトリックなど、ほんの一か所ずつではあるものの色々な要素がバランスよく取り入れられ、現代に通用する作品として復活、現にいまでも生き残っています。

 しかしこのメビウスには、このような要素が一つも入っていません。メビウスの帯は両端を盛り上げてちょっと進みにくくするために突起を付けただけ、という感じです。突起の配置は両面で異なっているのですが、C環の突起が同形状で中心軸も同一なので、全ての突起を裏側にコピーしてもパズルとしては全く変わりありません。つまり、帯の両面が異なっていなければならない絶対的な理由がないのです。そのため、メビウスの帯であることによる驚きというか、メビウスの帯であるべき理由、メビウスの帯であることへの納得感が感じられませんでした。逆に、この片面ずつの中途半端な突起は、パズルとしてのトリック性を向上させるどころか、無駄に取り組みにくくしているだけという印象すらあります。

 ただ、最初はちょっとメビウスの帯らしくて面白かったです。が、それも「表が裏に、裏が表に」というものではなく、やはり序盤で登場するに然るべき要素だと思います。そうすると、やはり迷路としてのトリック性がもう少し必要だったと考えます。

 更にこのメビウス、運が悪いと無限ループを彷徨うことがある、とアナウンスされていました。確かに、無限ループが仕掛けられていることは事実です。しかし、明らかに陥りようがないのです。というのは、心理的にどうしてもそこへ行こうとしないのです。逆に、無限ループが仕掛けられていることで自由度が増し、かえって簡単になってしまっているという気すらします。

 とまあ、ここまで酷評してきたのですが、ピースの操作性は悪くないので、暇つぶし程度に何となく手を動かすにはちょうど良い作品だと思います。

 メビウスは、過去と現在とのつながり方について、今一度考えさせられるきっかけになると感じたパズルです。慣れている人からすれば目新しさがありませんし、初心者の参入を期待するならそもそも難易度4を出すというのも不自然な話なので、結局どういう狙いで発売されたのかが全くわかりませんでした。前作ヘキサゴンが良作だっただけに、「発売が2か月ほど延期になった挙句この内容では…」というのが正直なところです。最低中身はこれで行くとしても、せめて難易度さえ適切であれば、もう少しよい評価を得られたのではないかと思います。ともあれ、これからパズルを始めてみようという初心者の方や、パズルが大の苦手だという方にはお勧めできるかと思います。

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キャストパズル 「巡」

基本的にあからさまな解答・ヒントは書きませんが、ネタバレを含む可能性があるのでご了承ください。




超薄型、キャストにあらぬ新感覚キャストパズル



 

名 称 : CAST HEXAGON(キャストヘキサゴン)   考案者 : MINE.Uyematsu

難易度 : 4 (閃3+論5)             総重量 : 約80g

テーマ : 巡                   金属臭 : なし

価 格 : 980円(税抜)              オススメ度 : ★★★★★



 公式から何の情報もないまま、とあるネットショッピングサイトでいきなり情報が舞い込んできた作品、それがこのキャストヘキサゴン。今までに登場したどのタイプの作品とも異なる見た目で、「これは本当にキャストパズルなのだろうか?」という感情すら抱いたものです。今までにないタイプに対するわくわく感と、公式からのアナウンスがないことへの不安が入り交じり、複雑な気持ちでいましたが、公式のアナウンスを見たとき、そして現物を入手した時にはとても嬉しい気持ちになりました。

 まず、現物を見て驚き。写真ではいかにも胡散臭い青色をしたピースが3つはまっていましたが、
現物は従来通りのきれいな銀色。とても格好良いです。そして箱を開けて驚き。パンフレットが復活しています。もちろん中身は変わっていますが、これもちょっと嬉しかったです。そして、ブリスターの封を切って更に驚き。とにかく薄い。組んだ状態でここまで薄いのも珍しいです。知的「立体」パズルゲームと言いながら、超平面的。しかし、完全平面では成り立たない、きちんと三次元的な構造になっています。そしてしばらく現物を眺めて気付く、「これは鋳物ではない、薄板をレーザーで切り抜いてるんじゃないか」と。そして箱を見て確信。デビルや迷路型パズルのC環も亜鉛合金ではありませんでしたが、それでもこんな作り方のキャストパズルは史上初なのではないでしょうか。とにかく挑戦まで驚かされっぱなしでした。

 さて概要ですが、その見た目からもわかる通り、これまでのシリーズとはかなり異なるタイプのパズルです。変わり種という意味でのインパクトで言えばU&Uもかなりのものでしたが、それよりもはるかに異色です。そのため、最初のうちは何がどうなっているのかわかりづらいのですが、少し触ってその構造を把握すれば何となく目指すべき姿が見えてくるようになっています。その姿を目指して一歩ずつ丁寧に進めていく感じの作品です。適当にやっているだけではどうしようもないかもしれませんが、要は直感が大事で、あっと驚く手順があるかと言えばそうではありません。そのため、パズルとしてはそう難しいものではなく、個人的には4で妥当だと思います。

 またこのヘキサゴン、パッケージ裏側の説明文からもわかる通り、各ピースが絶妙に邪魔しあうようになっており、操作はやや難しめです。また、作者のMINE.Uyematsu氏も「精度がきわめて要求される」とのコメントをされていました。はい、確かにそういう印象があります。少し触ってみるとわかりますが、操作がやや難しいと感じる場面があります。角度が悪いだけなのか、本当に通れないのか、一見して判断がつきにくいため、キャストパズル独特の意地悪要素が盛り込まれているのではないか、とつい考えてしまうと思い切って動かすことができず、つい慎重になってしまいます。しかし、そこは心配いりません。正しい手順を踏めば全く引っ掛かりがないようになっています。

 ちなみに、下の写真のように黒のプレートを裏返しても組むことができます。難易度的にはそれほど大きな違いはありませんが、解き方は少し変わります。つまり、このヘキサゴン1つで2度楽しめるということで、これはかなり大きな利点だと思います。



 難点としては、初期状態で固定できないというのが挙げられると思います。これは構造上仕方ないことかと思いますが、未開封品にもかかわらずブリスターが浮き上がって中のピースがずれてしまっているものを見たこともあるので、やはりもったいないという気もします。

 ヘキサゴンは、キャストパズルシリーズのイメージを大きく変える可能性を有する作品です。今までとはかなり異なるタイプで、難易度も程よく、個人的には好きな作品です。しかし、その異色さから若干の戸惑いを覚えていたのも事実で、もしかすると同様の感情を抱く方もいるかもしれません。また、手順自体もわかってしまえば思いのほか簡単で、「何故これで迷っていたのか!?」とすら感じられました。そのため、人によっては簡単だと評価するでしょう。これらを踏まえると、評価は二分されることと思います。しかし、キャストパズルシリーズには今までなかったタイプの作品なので、一見の価値は十分にあると思います。興味を持たれた方は、ぜひ一度挑戦してみてください。

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キャストパズル 「溝」

基本的にあからさまな解答・ヒントは書きませんが、ネタバレを含む可能性があるのでご了承ください。




鍵穴に潜むカギを探れ



 

名 称 : CAST KEYHOLE(キャストキーホール)   考案者 : Vesa Timonen

難易度 : 4 (閃3+論4)             総重量 : 約80g

テーマ : 溝                   金属臭 : なし

価 格 : 980円(税抜)              オススメ度 : ★★★



 Vesa Timonen氏の作品。溝の切られた2枚の板が組み合わさっただけという非常にシンプルな構成でありながら、今までに登場したどの作品とも異なるタイプの迷路型パズル。「立体迷路といえばOskar氏」というイメージの強いこのシリーズで、新しい風を吹き込む予感すらした作品です。

 さて概要ですが、見た目に違わないオーソドックスな迷路で、その素直さ・わかりやすさに好感が持てます。写真では何だか頼りない印象すらありましたが、手にしてみると意外としっかりした厚みと適度な重量感があり、やっぱりキャストパズルなんだなと思わせてくれます。各ピースも無駄のない洗練されたデザインで、絶妙に引っかかりあう様子を見ながら無心でガタガタと動かす感覚が楽しいです。

 しかし、わかりやすいということは、逆に言うとパズルとしてのひねりがなく、迷路として迷いの要素もほとんどないということになります。パッケージの説明文とは裏腹に無限ループに陥る余地もなく、何となく動かしているだけでも「進んでいるな」という手応えを感じられます。そのため難易度はかなり低く、早い人なら5分と掛からず外すことができるでしょう。

 これほど易しく感じられるのは、単に構造が複雑でないことが一番の理由だと思いますが、動き自体の変化がないことも一因だと思います。もちろん、まったく同じ動きばかりというわけではないのですが、H&Hのような、同じ迷路型パズルでも動きにバリエーションのある作品と比較すると、どうしても物足りなさを感じてしまいます。

 こうして物足りなさを感じるのにも理由があります。実はこのキーホール、ショートカットが存在するのですが、その時の動きが見た目のシンプルさからはちょっと想像しづらいようなものなのです。若干無理やり通している感じはありますが、その動きから個人的にはこちらの方が解法としては好きです。その他、1か所で似たような動きができる箇所もありましたが、そちらは袋小路でした。結局どちらも想定外の動きと思われますが、こういう要素を1つ入れておくだけで、そのパズルに対する印象がガラリと変わりますし、それによって単なる迷路の域を超えることができたのではないかと思っています。あまりそういうことを狙いすぎるとパズル性がブレることにもなりかねませんが、個性的な作品が多数揃うシリーズで難易度4を謳っているのに、素直で簡単な迷路というのはあまりにも物足りないというのが個人的な見解です。おそらく、難易度的には3がいいところで、人によってはそれ以下だと感じられると思います。

 またこのキーホール、初期の頃から不良品が存在していました。見た目的には通れそうなのに、1か所だけ妙に通しづらい場所があります。金のピースをよく見ると、内側に段ができており、断面がややひしゃげた平行四辺形のようにになっています。つまりこの現象は、単純に金型の寸法が外れているのではなく、金型の接合がずれているために起こっているものと思われます(どうやら現象的に、それだけが原因というわけではなさそうですが)。ちなみに、私自身はこれを「実は通せないようになっているのではないか」と考え、無駄に足止めを食らっていました。しかし、あまりにも進まないのでおかしいと思い2個目を購入してみると、今度は何とか通り、その後はすぐに外すことができました。まあ、独特の操作感を楽しめたので良かったのですが、結局「何だかなぁ」という思いが残りました。

 最近ふと気になって更に追加購入してみたところ、今度は例の部分に後から削り加工を入れた跡があり、内側の段がなくなっていました。結果、比較的スムーズに通すことができました。しかし、それはその箇所だけ段を削り取っているからにすぎず、ピース全体の金型ズレは修正されていませんでした。そして、今度は別の場所で動きがスムーズでなくなっていました。結局、一年ほど経過しても根本的な問題が解決されていないということです。この状況を踏まえると、「引っ掛かりがあったとしても、素直に見たままを信じて通せ」というのが最も良いのかもしれません。

 キーホールは、シンプルでわかりやすい形状と操作性が魅力の作品です。しかし、肝心の中身が薄いという点がどうしても気になり、迷路型パズルをある程度経験している方にとっては「何かが足りない」と感じられることと思います。逆に、迷路型パズルの基礎として、これからキャストパズルを始めてみようという初心者の方には十分にお勧めできる作品です。

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キャストパズル 「捻」

基本的にあからさまな解答・ヒントは書きませんが、ネタバレを含む可能性があるのでご了承ください。




銀色に輝く銀河



 

名 称 : CAST GALAXY(キャストギャラクシー)   考案者 : Bram Cohen

難易度 : 3 (閃3+論3)             総重量 : 約80g

テーマ : 捻                   金属臭 : なし

価 格 : 980円(税抜)              オススメ度 : ★★★



 2013年に開催されたIPP33に投稿された作品「Galaxy」。それを原案として改良されたのがこのキャストギャラクシーです。一目見て「今年の作品の中で最もキャストパズルらしい」と感じた形で、これがシリーズ入りを果たすと知った時は、昨年のG&Gと同じく素直に嬉しさを感じたものです。

 さて概要ですが、難易度が示す通り、そう難しいものではありません。ピース数は4と多いですが、割とガッチリと組み合った構造のため自由度は低く、とりあえずできることをしているだけでも外すことが可能です。

 しかし、その動きは見事です。今までにも外れる過程が面白い作品はいくつもありましたが、それらとはまた少し異なった独特の姿を経て外れていきます。それはまるで数学か化学のオブジェのようで、何とも不思議な魅力を感じられました。

 そして、戻す際には全く別のパズルとなって立ちはだかります。適当にやっていてはまず戻ることはなく、このパズルの構造がどうなっているのかを把握し、どうしなければならないかを論理的に考えていく必要があります。

 私の場合、初見では外すのにやたらと苦労してしまいました。手順自体は複雑ではありませんが、そのイメージしづらい形状のためか、予想外の苦戦を強いられてしまいました。一方で、戻すのはあっという間に戻ってしまいました。論理性が必要とはいえ、フックほどイメージしづらいものではなく、論理的な思考で丁寧に考えていけば割とすぐに方針を立てることができます。

 かと思いきや、少し間をおいて再度挑戦してみると、今度は往復の難易度がまるっきり逆転、なかなか戻らなくなってしまいました。公式では戻す方が難しいとされており、レビュー等でもそのような意見がいくつか見受けられますが、もちろん個人差はあり、人によってどちらで苦戦するかが大きく変わりそうです。その点では、何となくアムールに近い印象を受けました。

 また、公式からもアナウンスされていましたが、このキャストギャラクシー、原作そのままではなく少々改良されています。この改良、それほど大幅なものではありませんが、非常に巧妙に施されており、この作品の魅力である美観を損なうことなく無駄な要素を潰し、作品全体の論理性を向上させています。このトリックには、私自身が見事に引っかかってしまい、「よくできている」と思わず感心してしまいました。ただ、実際に手に取ってみると、それが別の理由であまり意味のないものになってしまっているのではないかという気もしてしまいます。それがこの改良の唯一惜しい点だと思いました。

 また、純粋なパズルとして見た場合、パズルテーマの割には見た目も中身もそれほど「捻」の要素はなく、難易度も公式設定通り3だなという感じのものです。形はきれいでも、パズルとしては少し物足りないかもしれません。

 その他難点として、なぜか初期状態がやたらと固いものがあるようです。ピース自体はそれなりにゆとりを持って作られているため、不良品でなければ説明文通りスルスルと動かせるはずなのですが、構造的には初期状態が特異点にもなっているので、運が悪いとかなり動かしづらいものにあたってしまう可能性も考えられます。ただし、このギャラクシーについてはあまり不良品の情報を見かけないので、それほど心配する必要はないでしょう。

 ギャラクシーは、幾何学的で知的好奇心をくすぐられるようなクールさが魅力の作品です。組みあがった時や外れる過程の格好良さはシリーズでもトップクラスだと思いますし、往復で印象がガラリと変わってしまうのも非常に面白いです。しかし、それでもこれまでのキャストパズルに数多く存在していたひねりや意地悪さなどはなく、パズルとしては極めて普通の作品だと思います。ですので、従来の作品に共通するような要素を期待していると、物足りないという思いを抱いて終わってしまうかもしれません。それでも、「こういう魅力もあるのか!」と気づき楽しめるのであれば十分に一見の価値はあるでしょうし、興味を持たれた方は購入してその不思議さを体感してみてください。

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